
10月12日、データミックス神保町教室にて、2025年1月期『データサイエンティスト育成講座』及び2025年7月期『プロダクト・データアナリスト育成講座』の卒業生による卒業発表会が開催されました。
卒業発表会は、受講生一人ひとりが自ら研究テーマを決め、半年以上にわたって学んだ成果を発表する場です。卒業生たちは、所属先企業のビジネス課題や社会的に注目されるテーマなど、自身が直面している課題をもとに研究に取り組みました。
今回は、特に優秀と評価された4名の卒業生による発表をご紹介します。
夏の甲子園における観客数予測モデルの構築とチケット収入の増大に向けた提案
【データサイエンティスト育成講座】
「野球の未来への貢献」という情熱的な動機に基づき、学生スポーツの金字塔である夏の甲子園を舞台に、「いつ、どの試合に、どれだけの人が集まるか」を事前に予測する画期的な仕組みを提案しました。過去の試合データ、出場校の情報、さらには天候までを詳しく分析することで、観客数を驚くほど高い精度(90%以上)で予測するシステムを開発。その予測結果に基づき、チケットの値段を需要に応じて変える「ダイナミックプライシング」を導入することで、年間5,600万円もの収入増が見込める、具体的で現実的なビジネスプランを提示しました。
「スポーツビジネスという興味深いテーマに対し、実運用を想定したデータリーケージへの対応や高い精度の予測モデル、そして明確なビジネスインパクト試算までを統合的に行った、非常に完成度の高い提案である」と評価されました。
MMM(マーケティングミックスモデリング)を用いた認知広告の効果検証と予算最適化
【データサイエンティスト育成講座】
「どの広告にいくらお金をかければ、売上が最も伸びるのか」という、企業にとって重要な問いにデータで答えを出した研究です。すぐに売上につながらないテレビCMなどの「認知を広げる広告」は効果がわからず予算を決めにくいという課題に対し、データ分析技術(MMM)を用いて、すべての広告が最終的に売上にどれだけ貢献しているかを「見える化」しました。その分析結果に基づき予算を組み直すことで、売上を6.42%増やすという具体的なビジネスプランを提示。「広告への投資が無駄になっていないか」という悩みを解決し、限られた予算で最大の効果を生み出す明確な指針を示しました。現場に根ざした実務課題を、前処理の段階からビジネスに落とし込む工夫が高く評価されました。
面倒なお問い合わせ対応はAIワークフローにやらせよう
【データサイエンティスト育成講座】
この発表は、「紛らわしい営業メールの選別、重要な問い合わせの見逃し、定型的な返信作業の負担」といった、ビジネス現場で毎日発生する「面倒なお問い合わせ対応」の課題を、AIで解決するものです。具体的には、AIワークフローを構築し、受信メールから顧客情報を抽出し、メールの種類を正確に分類し、適切な返信文案まで自動で作成して社内担当者に提案するシステムを開発しました。特に、社内にあるAI(ローカルLLM)を使用することで、外部に顧客情報が漏れる心配がない高いセキュリティまで考慮されていた点が優れています 。
データセキュリティまで考慮に入れ、本当に仕事にすぐ使えるレベルのワークフローを想定している点が高く評価され、AIを誰もが使えるようにする「AIの民主化」に直結するとして、見事最優秀発表に選出されました。
機械学習を用いた脆弱性対応 優先度付けシステムの構築
【データサイエンティスト育成講座】
企業が日々直面する膨大なシステムの弱点(脆弱性)の中から、「今、最も危険で優先的に対応すべきもの」を効率的に見つけ出すAIシステムを開発しました。業界標準の評価よりも高い精度で危険度を予測するだけでなく、専門家ではない人でもシステムの判断理由を理解できるよう、AIが自然な言葉で予測根拠を説明する機能や、現場で確認・対応ができるダッシュボードに繋げた点が秀逸でした。このシステムによって、専門家が優先度を決める作業時間を大幅に削減できるという具体的なビジネスインパクトを実現しました。
「セキュリティ分野という専門的な課題に対し、実務ダッシュボードへの接続やLLMによる根拠の説明など、ユニークで非常に優れたアイデアが多く盛り込まれている」と高く評価されました。
皆様、長期にわたる学びの成果を存分に発揮した素晴らしい発表でした。惜しくも発表者に選出されなかった方も含め、卒業生の皆様の今後の活躍をデータミックス一同、引き続き応援してまいります。
次回の卒業発表会は2025年12月7日(日)に開催予定です。どなたでもご参加いただけますので、皆様のお申し込みをお待ちしております!



