足利銀行担当者 DX戦略室
DX戦略室 上席参事役 佐川一行 様(写真中央)
DX戦略室 係長 滝 謙太 様(写真右)
足利銀行の社内認定資格としてCBAS citizen級を採択
同検定資格の導入により、社内のDXを牽引できる人材育成の実現と営業店および本部での集計管理業務の負担軽減に貢献。
<足利銀行 基本情報(事業内容・従業員数など)>
■ 会社名 :株式会社足利銀行(栃木県宇都宮市桜四丁目1番25号)
■ 事業内容:普通銀行
■ 従業員数 :2,497人 (2023年3月31日現在)
足利銀行が新設した「DX戦略室」
銀行としてのDXを推進・統括する部署として2022年4月に新設され、現在、外部への出向者を含め16名(2023年8月時点)が在籍しています。
元々BPR推進室(主にRPAの導入を担当するメンバーと本部の企画部門や営業店に所属していたメンバーから構成)とIT戦略室(主に行内システムのITガバナンスを担当するメンバーで構成)が統合された組織であり、エンジニアやデータサイエンティストなどの専門知識を持つ社員ではなく、社内公募で手を上げて集まったメンバーも含め、様々な経歴の人員で構成されています。
DX戦略室では、以下の目的で業務推進を行っています。
・コア業務でデジタル要素を取り込んだ業務効率化
・データの整備と利活用に向けた体制整備
・DXを推進・実行できる人材の育成
これまで実施してきた通常の銀行業務関連の研修に加え、DXの中核的な担い手として一定レベルのデジタルリテラシーと実務能力を有するDX人材認定へ取り組んでおり、行員にDXの意味や進め方を伝えていく必要性から、施策や研修を企画・実施しています。
人材育成以外にも、コア業務や本来の業務の中にデジタルの要素を取り込み、業務効率を上げる取り組みを実施。今期は同行内が有する各種データの活用促進に向け、データの整備や利活用に取り組んでいます。
社内資格導入の背景
足利銀行では、2021年下期に「DXとは『デジタル化と業務改革を進め、顧客価値と生産性の抜本的な向上を図ること』」と定義しました。DX推進で個人に求められるデシタルリテラシーをIT・DS(データサイエンス)・AIの3領域と定め、オンライン学習や資格等の取得を通じてリテラシーを高めつつ、DXを牽引できる人材を育成する目的で社内認定資格を制度化したものです。
<同行で設定している5つの認定分野>
・ビジネス分野
└ ITコーディネータ、FP1級、証券アナリスト、中小企業診断士など
・IT分野
└ 基本情報、応用技術関連など
・新IT分野
└ クラウド関連試験など
・データサイエンス分野
└ データサイエンティスト検定、CBAS citizen級など
・AI分野
└ G検定、CBAS PM級など
足利銀行が抱えていた課題とCBAS導入の目的
従来の研修や評価の枠組みにはない新たなデジタルスキルや資格、素養が求められるため、どのような仕組みと体系で運用するか整理が必要な状況でした。DXを実現するには、IT活用による効率化・デジタル化に加えて、データ・AI(機械学習)の活用による意思決定や判断のデジタル化が不可欠であり、データサイエンスの活用領域拡大・データ利活用の促進を図る目的で導入しました。
CBAS citizen級が採択された3つのポイント
データサイエンティスト検定やG検定など、既存のデータサイエンス関連の資格試験はレベルの高い検定試験であると認識しており、データサイエンティストを目指す中でも知識や技術が至っていない場合に、どんなステップにフォーカスして知識を身につけていけば良いのかという点が明確になるためCBASは大変有用でした。
エクセルスキルを有していて、データサイエンティストを目指している人たちが、データの可視化や統計学の基本を身につけるという点では実効性の高い資格であると感じています。
ポイント1
DX人材の育成を進める中で、より実践的な能力を高めるべく、データのハンドリング(取扱い)にかかるハンズオン研修の必要性を感じた。
ポイント2
エクセルについて一定のスキルを有する行員を対象に、データ分析のプロセスにおいて必要となるデータの前処理・可視化・統計処理等にかかるスキル・知識の習得を図り、実務能力の向上を図ることができると考えた。
ポイント3
受講者のスキルの習得および定着を図るため、貴社が提供する資格試験受験が適切と判断した。
導入後の成果
銀行業務の研修や、実務に即した知識を充足させるための研修を座学で実施していますが、PCやツールを操作しながら作業することや、事例を参考に分析していくなどの実践的な研修が少なかったため、受講者からの評価は高く、実践的なスキルを取得でき効果的であると認識しています。
足利銀行は営業店が134店舗あり、本部は営業店から件数報告を受け取り、エクセルを活用して管理表の作成や集計作業を実施していますが、作業には多くの工数と時間を要していました。
CBASの知識があると一括作業ができるなど、大幅な業務効率の向上に繋がっています。
会社/事業部としての今後の方向性
2022年度は受講者40名のうち、24名が合格。(更に追加で受験予定あり。)
効率的なデータ処理や統計的手法など、実務的なスキルをハンズオン形式で学べるため、データサイエンスを促進する上でも、今後も継続して受講させたいと考えています。
特にデータを活用して企画を行う本部に在籍する人材や、本部の勤務を希望する人材については、できるだけCBASのスキルを身につけてほしいと考えています。エクセルの技術を高められ、かつ業務の生産性も非常に上がることから、幅広く社内で推奨したいです。
足利銀行の行員として成長していく中で、DXの視点で体系的に「学ぶ、知識をつける、実践する」というカリキュラムを作っていくという点では道半ばだと感じています。
この点を整備して、人事部門が担う研修と織り交ぜていき、人材育成プランの中にDXを組み込んでいくことを目指したいと考えています。