企業名:住友商事株式会社
業種:総合商社
職種:営業
どのようなお仕事をされていますか?
入社以来、アジア・中東・欧州における自動車流通販売事業に携わってきました。その中でも現在は、本社の自動車流通DXユニットに所属し、各国でのシステム導入や、DX事例の可視化・共有に取り組んでいます。
データサイエンスを学ぼうと思ったきっかけは何ですか?
2024年、7年以上に及ぶ海外駐在を終えて帰国し、DX推進チームに着任した際に、会社から「データサイエンティスト育成講座を受講してみないか」と声をかけてもらいました。
駐在中は目の前のビジネスに全力で取り組む日々で、デジタルに関するリテラシーやスキルの不足を痛感していました。また、膨大な顧客データや取引データが社内システムに蓄積されているにもかかわらず、十分に分析・活用できていない現状にも課題を感じていました。
当初は自分がデータサイエンスを学ぶことになるとは思ってもいませんでしたが、「今こそ学ぶべきタイミングだ」と感じ、ぜひ受講したいと手を挙げました。
数あるデータサイエンス教育サービスの中で、データミックスを選んだ理由を教えてください。
本講座は「ビジネス経験 × データサイエンス」を掛け合わせ、DX推進に貢献できる人材の育成を目的とした、社会人向けの実践的な講座です。ビジネスに直結するデータサイエンスの知識とスキルを体系的に学べる内容であり、「DXの活用により事業強化を図る」という当社の人材育成方針にも合致していることが、受講を決めた大きな理由の一つです。
さらに、本講座は日本で初めて、世界最大級の統計学会の一つである英国王立統計学会(Royal Statistical Society: RSS)の認定基準をクリアしており、研修の質についても高い信頼性が担保されていると判断しました。
データミックスのスクール形式にはどのような印象を持ちましたか?
オンラインとオフラインのハイブリッド形式で実施されたため、場所を問わず参加できる点が非常にありがたく感じました。実際、海外出張が多い中、全体の約3割は出張先である海外から受講しましたが、大きな支障なく学びを継続できました。また、平日の業務都合で参加が難しい場合も、柔軟に曜日の振替が可能だったため、土曜日に受講を振り替えることで、一度も欠席することなく9か月間の全課程を完走することができました。
予習や復習が必要だったと思いますが、どのように時間を確保しましたか?
基本的には、休日や出張時の移動時間を活用して予習・復習を行っていましたが、平日の業務の合間にも、隙間時間があれば積極的に学習に充てるようにしていました。
卒業課題ではどのようなテーマに取り組みましたか?
卒業課題のテーマには「新車購入客の初回点検入庫分析」を選びました。事業者が初回点検の入庫台数増加を重要な施策目標とする中で、講座で習得したスキルと知識を活かし、入庫の有無を予測するモデルを構築しました。さらに、入庫に影響を与える特徴量を特定・分析することで、どのような要因が入庫に影響を与えているかを明らかにし、初回点検の誘致に向けた具体的な施策を提案しました。
これに対し、事業会社の経営層からは「これまでは『データがないから仕方がない』といった不完全な提案が多かったが、今回の分析では実際に手元のデータをもとに『何が、どれだけ入庫に効くか』が可視化できており、大きな成果」との高い評価と感謝の言葉をいただきました。
9ヶ月間の受講を終えて、どのような成果を感じていますか?
元々なじみのない世界でしたが、スキルやリテラシーの習得という点で、大きく3つの成果を実感しています。
一つ目は「統計学の威力」です。物事を0か100で判断するのではなく、「95%有意」といった確率的な考え方を用いることで、多様な仮説検証や意思決定の幅が広がることを理解しました。
二つ目は「RやPythonを用いた情報解析スキルの習得」です。従来のExcelによる分析に加え、プログラミングを用いて大量データの前処理、可視化、相関分析、回帰分析などを自動化・効率化できるようになり、より再現性の高い分析プロセスを実践できるようになりました。また、複数の変数を扱うモデル構築や分析ロジックの明確化を通じて、課題の構造的な把握が可能となりました。
三つ目は「機械学習の可能性」です。画像認識や自然言語処理などの領域を含め、従来の手法では不可能だった規模や複雑性のあるデータ処理・予測を実現できる点に強い衝撃を受けました。
総括すると、生成AIの進展によりコーディングが容易になる中で、データの探索・加工から分析アルゴリズムの選定・評価に至る一連のリテラシーを獲得したことで、「身近なデータから現状を深く把握できる」「未来を自分で予測できる」「機械学習/ディープラーニングの発展を目の前の事業に活用できる」といった新たなマインドセットが醸成されたことが、最大の成果だと感じています。
スクールで学んだことは、実務でどのように活かされていますか?または今後、どのように活かしていきたいと考えていますか?
卒業課題で取り組んだテーマ以外にも、自動車流通事業には多くの分析可能なテーマがあるため、現在それらの分析にも着手しています。あわせて、今回の講座で得た知識やデータサイエンスによって実現できることについて、国内・海外を問わず関係者に対して説明・共有する活動も始めています。
率直に、多額の受講料と、多くの時間を投資して受講をする決意をされたきっかけやモチベーションは何だったのでしょうか?
前述の通り、会社の支援で受講を開始しましたが、学びを進める中で「このスキルやリテラシーは今後の業務において極めて重要である」と確信するようになり、途中で諦めることなく学習を継続することができました。
また、節目ごとに課される課題発表には苦労しましたが、自らデータを分析し、成果物を作り上げていくプロセスを通じて、着実に「自分にできることが増えている」と実感できたことが、大きなモチベーションの維持・向上につながりました。
これからの受講を検討している人に一言お願いします。
前述の通り、本講座を通じて、スキルやリテラシーだけでなく、マインドセットの面でも大きな成長と成果を実感することができました。生成AIの登場によりコーディングのハードルも大きく下がっており、多忙な方にとっても十分にチャレンジする価値のある内容だと感じています。