データサイエンティストになるためには? 必要なスキルや学習方法を解説
データサイエンティストとは、データを分析してビジネスに役…
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データサイエンティスト
2023.09.18
まずは、データサイエンティストが不足している現状や今後の可能性について説明します。
企業側のニーズに対し、データサイエンティストの人数は不足しているというのが現状です。ハローワークの求人統計データによると、データサイエンティストの有効求人倍率は2.77となっています。これは、データサイエンティストを志望している求職者1人に対し、該当ポジションの求人が2.77件あるという状態です。つまり、企業が求めているデータサイエンティストの人数に対し、求職者の数が不足していることを意味しています。このデータから、企業側がデータサイエンティストを確保するのに苦労している現状が伺えます。
参考URL:データサイエンティストのハローワーク求人統計データの有効求人倍率
将来的にも、データサイエンティストが不足する状況は続くと予想されます。経済産業省が2019年に発表した調査結果「IT人材需給に関する調査 – 調査報告書」では、AIに関する需要が現状と同程度で伸び続けた場合、AI人材は最大14.5万人不足すると試算されています。レポート内では、AI人材を、「AIに関する研究(サイエンス)、開発(エンジニアリング)、事業企画(ビジネス系)」のいずれかに関する業務に従事している人材と定義しています。AI人材の中にはデータサイエンティストが含まれると考えられるため、データサイエンティストの慢性的な不足は今後も続くと考えられます。
参考URL :経済産業省「IT人材需給に関する調査 – 調査報告書」
なぜデータサイエンティストはこれほどまでに不足しているのでしょうか。その理由について説明します。
ここ数年でDXに取り組む企業が増え、データサイエンティストの需要が急増しています。DXとは、デジタル技術やビッグデータを活用し、企業の風土やビジネスモデルを変革することです。あらゆる業界において、DXに取り組む必要性が叫ばれています。
例えば、自動車業界では、「車」というものの役割が変化しつつあり、「100年に一度の大変革期」と呼ばれています。電動化、自動化、コネクテッド、シェアリングなど、新しい技術やビジネスが誕生しています。このような変化に対応するために、デジタル技術やビッグデータを活用し、車の売り方、価値提供のあり方などを変革する必要があります。
こうした取り組みの中で、ビッグデータを活用してビジネスに役立つ知見を抽出するためには、データサイエンティストの力が必要不可欠です。DX推進のために必要な人材として、多くの企業がデータサイエンティストを求めているのです。
データサイエンティスト自体が日本では比較的新しい職種であり、業務経験を持つ方が少ないというのが現状です。DXが本格的に始まったのはここ数年のことです。そのため、データサイエンティストという職種が生まれてから日が浅く、実務経験を積んだ人は多くありません。経験がある人が少ないので、業務を教えられる人が少なく、データサイエンティストがなかなか育たないという状態に陥っています。
データサイエンティストとして業務を遂行するには、知識だけでなく経験も必要です。データの分析や解釈の時にも、経験や勘などの職人技のようなものが必要であることは否めません。第一線で活躍できるほどの経験を積んだ人が少なく、技術の伝承も進みづらいといえます。
データサイエンティストに必要な知識やスキルを体系的に学べる教育機関が少ないという問題もあります。これまでも理工系の学部では統計学やプログラミングなどを学ぶことは可能でした。しかし、データを加工して分析し、そこから知見を抽出して意思決定するという「データサイエンティストとして必要な実践的なスキルを体系的に習得するための教育」を受けられるコースは少ないのが現状です。
日本では、データサイエンティストの訓練を受けた大学卒業生の数はアメリカと比べて格段に少ないといわれています。諸外国と比較すると、日本は教育機関で体系的にデータ分析を学べる機会が少なく、データサイエンティストが育ちにくい環境であるといえます。
現在、日本ではデータサイエンティスト不足解消のために、さまざまな施策や取り組みが行われています。その中の一部を紹介します。
データサイエンティスト育成講座の中には、第四次産業革命スキル習得講座 (Re スキル講座)に認定されている講座もあります。Reスキル講座とは、IT等の将来需要が増加すると見込まれる分野に関する特定の評価基準を満たした専門的・実践的な講座を経済産業大臣が認定する制度です。
Reスキル講座に認定された講座を受ける場合、専門実践教育訓練給付金を利用すると、受講料の最大70%の補助を受けることができます。つまり、国からの補助を受けてデータサイエンティストになるための講座を受講できるというわけです。国を挙げてデータサイエンティストの育成に力を注いでいるといえるでしょう。
近年、多くの大学においてデータサイエンスを学べる学部・学科が新設されています。情報・理工系学部から派生したものだけでなく、社会科学系の学問に基づいたデータサイエンス系の学部も増えています。
例えば、2023年度には文系の名門大学である一橋大学で「ソーシャル・データサイエンス学部」が新設されました。「ソーシャル・データサイエンス学部」では、社会科学の知識とデータサイエンスに関する知識、スキルを体系的に学ぶことができます。
出典:一橋大学 ソーシャル・データサイエンス学部 カリキュラム概要
一橋大学では、社会科学の知識・理論をもって経済や政治、法学などの分野における課題を抽出し、データサイエンス力・データエンジニアリング力を用いてそれらの課題を解決できる人材の育成を目指しているようです。一橋大学以外の大学でも、データサイエンス系の学部が新設されています。
ビジネス現場ですぐに活躍できるデータサイエンティストを育成するために、専門の組織を設置する企業も登場しています。代表例として挙げられるのが、総合空調機器メーカであるダイキン工業株式会社です。ダイキンは、データサイエンティストの不足を解決するため、2017年にダイキン情報技術大学を設立しました。ダイキン情報技術大学に配属された社員は、2年間、知識やスキルの習得に専念できます。座学だけでなく、複数部門の現場に入り込んでデータサイエンスの知識・技術を活用して課題解決に取り組む演習も用意されています。このような教育プログラムにより、自社ビジネスを幅広く理解したデータサイエンティストを育成することを目標としているのです。
参考URL: ダイキンのDX人材育成
今後、データサイエンティストの需要はどのように変化していくのでしょうか。
データサイエンティストには近年一段と高いスキルが求められるようになってきました。従来は、統計解析手法を用いてデータを分析し、知見を引き出して経営層に提示することまでがデータサイエンティストの役割でした。
しかし、近年では、データを解析することにとどまらず、その先のビジネス上の課題解決にまでコミットすることが求められるようになってきました。例えば、データを分析して規則性を見出した後、それをもとにAIモデルを構築・実装し、システム化して維持管理するというところまで求められるようになってきました。これに伴い、データサイエンス、データエンジニアリング両分野においてより高度なスキルが求められるようになりました。
一人のデータサイエンティストがこれら全ての業務をまかなうことは事実上不可能です。そのため、データ分析・モデル構築に特化した「AIエンジニア」、データベース等の扱いに長けた「データエンジニア」などの新たなポジションが生まれています。
データサイエンティストに求められるスキルが多様化・高度化するのに伴い、役割が複数人に分担されるようになりました。データサイエンティストとして活躍するためには、基本的、総合的な知識に加えて、いずれかのポジションに特化したスキルを有している必要があるといえそうです。
企業がデータサイエンティストに求める役割は、ビジネスの課題解決に貢献することです。そのためには、ビジネス上の本質的な課題は何か、適切なKPI(重要業績評価指標)は何か、といったビジネスに対する深い理解が求められます。
単純にデータを分析したり、モデルを構築したりするだけでなく、ビジネスを深く理解し、課題の解決に貢献しようとする姿勢が求められるでしょう。
近年、各業界のDX推進によりデータサイエンティストの需要は増しています。また、データサイエンティストに求められる能力も高度化しています。しかし、教育や実務の機会が不足しているため、企業が求める水準の実務遂行能力を持ったデータサイエンティストの数は多くありません。企業側の需要に対し、データサイエンティストが不足しているというのが現状です。
未経験からチャレンジできる機会も多いので「データサイエンティストの仕事に興味がある」という方は、はじめの一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
データミックスでは、初学者や文系出身の方でもデータサイエンティストに必要な知識やスキルを体系的に学習できるデータサイエンティスト育成講座を提供しています。
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