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IBM Watsonとは?AIの活用事例や仕組みについて解説

データサイエンス

2024.07.03

INDEX

AIの進化とともに、私たちの生活やビジネスに革命をもたらす技術が登場しています。その中でも注目されているのが、IBMが開発した「IBM Watson」です。この記事では、IBM Watsonの概要から具体的な活用事例、そして未来の可能性について解説します。

IBM Watsonとは

まずはIBM Watsonとは、どのようなものなのかについて見ていきましょう。

 

IBM Watsonの概要

 

AI分野の主要企業の一つであるIBMは、2011年にクイズ番組「Jeopardy!」に出場し、人間の賢者たちを破ったWatsonという問題解決システムを開発しました。名前のIBM Watsonは、IBMの創業者である「トーマス・J・ワトソン」に由来しています。IBM Watsonは、人間の自然言語を用いて質問に答えたりする質問応答や、膨大なデータを扱って人間に必要な情報を提示する意思決定支援を得意としています。

参考:ITmedia NEWS

   AINOW

 

IBM Watsonの開発背景と進化

 

IBM Watsonの開発は、IBMの長年の研究活動とアプローチの延長線上にあります。1990年代後半から、IBMのAI研究チームは自然言語処理とデータ解析の分野で積極的に取り組んでいました。しかし、自然言語の分析とデータの解釈は極めて難しい課題でした。そこでIBMは、マシンに人間のように推論する能力を持たせることを目的に、大規模なオープンドメインの質問応答システム「IBM Watson」の開発を開始しました。

 

IBM Watsonの開発プロセスには数多くのマイルストーンが存在します。

 

  • 2007年: クイズ番組「Jeopardy!」でチャンピオンと対戦できるコンピューター・システムを構築する取り組みが開始
  • 2011年: クイズ番組「Jeopardy!」で人間の賢者を破り、大きな話題を呼ぶ
  • 2013年: 医療分野特化のWatson for Oncologyが登場
  • 2016年: 企業向けAIクラウドサービスIBM Watson Cloudがリリース
  • 2020年頃: 多くの企業がIBM Watsonエコシステムに参入、ツールの拡張が進む
  • 2023年: IBM watsonxの登場

 

以上のように、IBM Watsonは可能性と課題を繰り返し検討しながら、着実に進化を遂げてきました。

出典:IBM Newsroom

IBM Watsonの仕組み

Watsonの頭脳となる中核技術には、自然言語処理、情報検索、機械学習、データマイニングなどの要素技術が含まれています。例えば、以下のようなプロセスでIBM Watsonは問題を解いていきます。

 

  1. 1.自然言語処理を用いて質問の意味を理解する
  2. 2.構造化/非構造化データを情報源として使い、数十億件の情報から関連情報を探す  
  3. 3.機械学習アルゴリズムで解答候補を作成し、スコア付けを行う
  4. 4.最終的に候補の中から最適な解答を選び、自然言語で回答する

 

要するにIBM Watsonは、超高速に莫大な情報を処理し、的確な解答を導き出す知的なシステムなのです。単なる検索エンジンではなく、質問された内容を本当に「理解」しようと試みています。IBM自身がIBM Watsonを「認知システム」と呼ぶのはそのためです。また、継続的なアップデートと機能の拡張がなされているため、IBM Watsonの処理能力は日々向上し続けています。

IBM Watsonの活用事例  

IBM Watsonは開発直後からさまざまな分野で導入が進み、従来の課題解決を支援するツールとして高い評価を受けています。主な活用事例は以下の通りです。  

 

医療分野

 

がん治療の分野で際立った功績があります。IBM Watson for Oncologyを使えば、治療の意思決定をサポートでき、最適な治療法を見つけ出す確率が高まります。これにより、治療の質が向上し、医師の負担軽減にもつながりました。しかし、2020年に事業見直しのため、IBM Watson for Oncologyは中止となりました。

出典:IBM Newsroom

        iMagazine

 

危険予知

 

三井化学株式会社は、化学物質を扱う作業現場での安全を確保し、労働災害やトラブルを削減するために、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しています。IBM Watsonを用いて過去の労働災害やヒヤリハット情報を分析し、リスクを抽出する「危険源抽出AI」を開発しました。このシステムは、労働災害の未然防止と迅速な対応を支援し、安全な作業環境の構築に貢献しています。また、IBM Watsonの技術を利用して、過去のデータから有益な知見を抽出し、安全レベルの向上を目指しています。

出典:IBM

 

コールセンター業務 

 

IBM Watsonは自然言語で対話が可能なため、コールセンターの応対業務の代替アシスタントとして採用されており、みずほ銀行のコールセンターでも導入されています。顧客とオペレーターの電話の会話を音声認識システムが文字データに変換し、それがIBM Watsonへ送信されます。その後、IBM Watsonが顧客の質問を解析し最適な回答を導き出し、オペレーターのパソコン画面に提示されます。これにより、回答までの時間を短縮することができ、顧客の満足度を高めることにつながっています。

出典:ニュースイッチ

 

新卒採用

 

ソフトバンク株式会社は、新卒採用選考にIBM Watsonを導入しています。過去のデータを学習させたIBM Watsonに応募者のエントリーシートデータを読み込ませると、項目ごとに評価が提示されます。合格基準を満たす評価が提示された項目については、選考通過とし、それ以外の項目については人事担当者が内容を確認し、合否の最終判断を行います。IBM Watsonによる評価をエントリーシート選考の合否判断に活用することで、統一された評価軸でのより公平な選考を目指しています。

また、人事担当者がエントリーシートの確認作業に充てる時間を75%程度軽減することができ、これにより創出された時間を応募者との対面でのコミュニケーションに充てています。

出典:ソフトバンク株式会社

 

このように、医療、危険予知、コールセンター、新卒採用など、さまざまな分野でIBM Watsonは幅広く活用されています。いずれの事例でも、大量のデータを瞬時に処理して最適な答えを導き出す、IBM Watsonの問題解決力が評価されていることがわかります。

IBM Watsonの将来性

IBM Watsonの将来性は非常に明るいとされています。技術進化の予測では、自然言語処理や機械学習といったディープテクノロジーが組み込まれ、人間の知識を模倣し、新たな価値を創造することが期待されています。また、市場拡大の予測では、IBM WatsonがAI技術の最先端を行く存在として、より多くのビジネス分野や医療業界などでの活用が進むと見られています。

さらに、IBMは生成AIの世界に本格的に乗り出し、「IBM watsonx(ワトソン・エックス)」という新しいプラットフォームを発表しました。これにより、企業は独自のAIモデルの構築と学習、チューニングや管理ができるようになり、AIの活用がさらに進むことが期待されています。

まとめ

以上、IBM Watsonという画期的なAIシステムについて、その概要から技術的仕組み、活用事例、さらには将来性までを幅広く解説してきました。

IBM Watsonは、自然言語の理解や知識の統合化、機械学習などの先端技術を組み合わせた先進的なAIシステムです。医療や危険予知、コールセンターなど、さまざまな領域で大きな役割を果たしており、データに基づく的確な意思決定を可能にしています。今後もAI技術の進化に伴い、IBM Watsonの処理能力は一層向上していくことが期待されます。

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