AIや人工知能でできること、人間にしかできないこととは?

データサイエンス

2024.07.17

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AIやロボット技術の急速な進化に伴い、人工知能(AI)が人間の仕事を奪うのではないかと懸念される一方で、AIには人間では難しい作業を効率化できるメリットもあります。この記事では、AIができること・できないこと、そして人間にしかできないことを多角的に検証し、AIと人間の適切な役割分担について考えていきます。

AIができること

人工知能が活躍する分野 AIは、ビッグデータの解析や反復作業において人間を上回る能力を発揮することができます。

 

高度な画像認識・音声認識の実現

 

AIは画像や音声データから的確に情報を読み取り、解析することが可能です。
具体例としては、

  • ・医療分野での画像診断支援による病変の早期発見
  • ・音声入力に基づく診療記録の自動作成
  • ・製造業での不良品の自動検査
  • ・動物や植物の自動認識による環境モニタリング

などが挙げられます。人間の目視では見落としがちな微細な異常もAIなら見逃すことなく検知でき、高い精度を実現できます。

 

大規模データ解析による予測・最適化

 

AIは過去の大量のデータから規則性を見つけ出し、将来を予測したり最適解を導き出したりできます。 例として、以下のようなものが挙げられます。

 

①気象データに基づく気候変動予測

AIは大量の気象データを解析し、気候変動のパターンを学習します。これにより、将来の気候変動を予測することが可能になります。これは、災害対策やエネルギー需給の最適化など、様々な分野で活用されています。

 

②購買履歴からの商品レコメンデーション

AIは顧客の購買履歴や閲覧履歴を解析し、その顧客が購入しそうな商品を予測します。これにより、個々の顧客に合わせたパーソナライズされた商品推奨を提供することが可能になります。

 

③交通データに基づく渋滞緩和策の提案

AIは交通流のデータを解析し、渋滞の発生原因やパターンを学習します。これにより、渋滞を緩和するための最適な交通制御策を提案することが可能になります。

 

④スポーツデータによるパフォーマンス分析

AIは選手のパフォーマンスデータを解析し、その選手の強みや弱みを把握します。これにより、選手個々のパフォーマンス向上策を提案したり、チーム全体の戦略を最適化することが可能になります。

 

以上のように人間の手作業だけでは気づきにくいパターンもAIは発見し、合理的な判断を下すことができます。

 

センサーデータの多角的な分析

 

IoTの発達に伴い、さまざまな分野でセンサーデータが大量に蓄積されつつあります。AIはこれらビッグデータを多角的に分析し、新たな価値を見出すことができます。例として、以下のようなものが挙げられます。

 

①工場の設備データからの予防保全の実現

AIは工場の設備から取得したセンサーデータを解析し、設備の異常を早期に検出します。これにより、予防保全を行い、設備のダウンタイムを最小限に抑えることが可能になります。

 

②農業データに基づく最適な営農計画の立案

AIは気象データや土壌データなどの農業データを解析し、作物の成長状況を予測します。これにより、最適な種まき時期や収穫時期を決定し、農作物の収穫量を最大化することが可能になります。

 

③ビル設備のセンサーデータによる省エネ施策の提案

AIはビルの設備から取得したセンサーデータを解析し、エネルギーの無駄遣いを検出します。これにより、省エネルギー施策を提案し、エネルギー消費を最小限に抑えることが可能になります。

 

④GPS &カメラデータを活用した自律走行技術の開発

AIはGPSデータやカメラデータを解析し、車の周囲の環境を認識します。これにより、自動車が自律的に運転するための技術を開発することが可能になります。

 

以上のように、従来人間の能力では限界があった分野でもAIが活躍できるようになってきています。

人工知能には限界がある

一方で、AIには人間のように物事の本質を捉え、創造性を発揮する力が備わっていません。

 

創造性の発揮や新しいアイデア出し

 

新しい発想を生み出したり、芸術作品を創作したりするのは人間の得意分野です。自動生成AIという画像や音楽、文章などを自動で生成するAIもありますが、AIは過去のデータに基づいて答えを出力するだけで、本当の意味での創造力はありません。 そのため、以下のようなものが人間にしかできないこととして挙げられるでしょう。

  • ・小説の構想やストーリー作り
  • ・新製品のコンセプトメイキング
  • ・画期的な科学理論の提唱
  • ・芸術性の高い絵画や音楽の創作

 

文脈の総合的な理解と高度な判断

 

AIには一定の範囲の知識処理は得意ですが、さまざまな文脈を組み合わせて総合的に理解するのは難しいと考えられています。 例えば、

  • ・矛盾した情報を適切に解釈する
  • ・暗黙の了解事項を推測する
  • ・人間らしい思慮深さや繊細さを持つ
  • ・物事の背景にある倫理観や価値観を考慮する

などの高度な判断は人間にしかできません。状況に応じた賢明な意思決定は人間の強みです。

 

対人サービスにおける人間らしさの発揮

 

人工知能は論理的な作業は得意ですが、相手の気持ちを汲み取る対人スキルが乏しいのが現状です。介護、看護、接客など人と直接関わるサービス業では、思いやりの心や人間らしい温かみのある対応が不可欠です。コミュニケーション能力や共感性、臨機応変の対応力において、人間はAIを上回っています。

AIと人間の上手な役割分担が肝心

AIと人間はそれぞれの長所を生かして協調して作業を行っていくことが理想的と言えるでしょう。ここではAIと人間が協調していくための方法について説明します。

 

人間がAIを適切に活用する

 

AIは人間の知能を補完するツールです。人間がAIの出力結果を確認し、必要に応じて修正・最終判断を下すことが重要です。

 

AIに適した作業と人間に適した作業を使い分ける

 

AIに任せるべき作業と、人間が行うべき作業を明確に区別することが賢明です。

 

AIに任せる作業例

  • ・大量のデータ解析と規則性の発見
  • ・定型的な判断や意思決定
  • ・センサーデータからの異常検知
  • ・単純作業の自動化

 

人間が行う作業例

  • ・新規アイデアの創出と企画立案
  • ・複雑な状況判断と意思決定
  • ・AIの監視・調整
  • ・対人サービスや人間らしい対応

 

このようにそれぞれの強みを生かしながら、AIと人間が上手に役割分担をすることで、業務の質と生産性が大幅に向上すると期待できます。

AI活用における倫理的課題と対策

AIの発達によって新たな倫理的課題も問題視されるようになっています。ここでは、その課題について紹介します。

 

公平性と説明責任の確保が不可欠

 

AIシステムが人種、性別、年齢などで偏った判断をしないよう、トレーニングデータと学習アルゴリズムに細心の注意を払う必要があります。また、AIがどのような根拠に基づいて出力結果を導き出したのか、その判断プロセスを説明できるように設計することが求められます。

 

AIの悪用防止とプライバシー保護

 

AIを悪用して個人の自由やプライバシーを脅かすリスクも存在します。例えば、AIを使った過剰な監視体制の構築や、デマ・偽情報の自動生成などが考えられます。AIの開発と利用において、倫理的ガイドラインの策定と厳格な運用が不可欠となるでしょう。

 

AIとの共生に向けた法制度の整備

 

将来的にはAIに一定の権利を付与する必要が出てくるかもしれません。AIが人間と同等の知性を持った場合、AIとの共生に向けて新たな法的枠組みを整備することを検討する必要があるでしょう。

 

AIのブラックボックス化への危惧

 

ディープラーニングなどの手法が発展するにつれ、AIの判断理由が人間にはわかりにくくなる「ブラックボックス化」が懸念されています。そうなれば、AIの公平性や説明責任を確保するのが困難になります。AIの透明性を高め、人間がAIを適切に監視・制御できるようにすることが重要な課題となっています。

 

これらの課題を解決してくことでAIと人間の関係性がより良いものへとなっていくでしょう。

まとめ

AIと人間は、お互いの長所を生かしながら適切に役割分担をすることが理想的です。データ解析や単純作業はAIに任せ、アイデア創出や最終判断は人間が行うことで、より高い生産性と質の向上が期待できます。一方で、AIの発達に伴い、公平性、プライバシー、悪用防止、共生のあり方など、様々な倫理的課題にも目を向ける必要があります。技術の健全な発展に向けて、AIと人間が上手く連携しながら、この問題に取り組んでいくべきでしょう。

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