プロンプトエンジニアとは・文系の強みを活かすことも可能?

機械学習

2023.11.03

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近年、ChatGPTをはじめとする生成AIが急速に進化する中、プロンプトエンジニアという新たな職業が注目されています。プロンプトエンジニアは従来のエンジニアとは違い、文系の強みも活かせる職業です。
この記事では、プロンプトエンジニアという職業の概要、文系の強みを活かせる理由、どのようなスキルが必要でどのような人が向いているのかなどについて解説します。

1.プロンプトエンジニアとは

プロンプトエンジニアは、生成AIの回答の精度を向上させる職業です。生成AIは、多くの可能性を秘めた強力なツールですが、生成されるコンテンツの品質を高めたり、特定の目的に合わせて最適化したりするためには、適切なプロンプト(生成AIに対する指示や質問)の設定が不可欠です。

 

プロンプトエンジニアは、プロンプトエンジニアリングという手法を用いてAIに命令を与えます。プロンプトエンジニアリングの特徴は日本語や英語のような私たちが普段使用する言語でAIに命令を出すことです。従来、AIへの命令はPythonなどのプログラミングのコードを書く必要がありましたが、プロンプトエンジニアリングの登場により、AIへの命令をすべてコードで書く必要がなくなりました。

 

プロンプトエンジニアリングは英語や日本語など、私たちが普段使っている言語を用いて命令するので、簡単なように思えるかもしれません。しかし、AIは与えられた命令によって、出力される結果が大きく変わります。どのような命令を与えれば、最も相応しい回答が得られるかを考えるのがプロンプトエンジニアの仕事です。

 

参考記事:プロンプトエンジニアリングとは・ChatGPTの活用事例も解説

 

例えば、ChatGPTで「プロンプトエンジニアリング」について聞いてみましょう。

datamix231103-1

上の画像のように、ChatGPTは、プロンプトエンジニアリングについて簡潔に回答しています。しかし、「モデルの反応」、「フィードバックループの活用」など、プロンプトエンジニアリングに関する前提知識を持たない人にとっては難しい表現も含まれています。

 

そこで、最後に「高校生にもわかるように説明してください。」という追加の条件を加えてみました。

datamix231103-2

今回は、先ほどの結果よりも格段にわかりやすい文章になりました。具体例も挙げて説明されているので、プロンプトエンジニアリングのイメージがより鮮明になったでしょう。

このように、プロンプトの内容によって、得られる回答は大きく異なります。

2.プロンプトエンジニアの役割

プロンプトエンジニアに求められる役割とはどのようなものなのでしょうか。

 

(1)プロンプトの開発

 

プロンプトエンジニアの役割は、どのようなプロンプトを与えるとAIが最も適切な回答をするのかを模索しながら、プロンプトを開発することです。プロンプトが適切であるほど、AIは精度の高いコンテンツを生成できる可能性が高まります。

 

(2)プロンプトのメンテナンス

 

プロンプトのメンテナンスを行うことも、プロンプトエンジニアに求められる重要な役割です。

プロンプトは一度作成して終わりではありません。プロンプトの精度向上を目指すためには、コンテンツの生成結果を定期的にモニタリングして、必要に応じて修正を加えていく必要があります。

ユーザーからのフィードバックを収集し、それに基づいてプロンプトを改善することで、AIのコンテンツ生成の質を向上させることも可能です。

3.プロンプトエンジニアに求められる知識やスキル

プロンプトエンジニアとして活躍するためには、どのような知識やスキルが求められるのでしょうか。

 

(1)自然言語処理に関する知識

 

AIやコンピュータに自然言語で適切に命令するには、AIやコンピュータがどのように自然言語を処理しているかを理解する必要があります。

 

自然言語処理には以下の4つの技術が使われています。

・形態素解析:文章を形態素という単位で分け、それぞれに品詞を割り当てる

・構文解析:形態素同士の関係を確認する

・意味解析:構文解析で得られた解釈のうち、最も正しいものを選ぶ

・文脈解析:文同士の関係を解析する

 

このように、AIやコンピュータは文章を細かく分解することで、その内容を解析しています。プロンプトエンジニアには、このような自然言語処理の仕組みを理解することが求められます。

 

(2)プログラミングスキル

 

AIの設計にはPythonなどのプログラミングスキルが必要です。自然言語で命令を与えるより、プログラミングのコードで命令を与える方が適切に処理される場合もあるからです。自然言語での命令と、プログラミングでの命令のどちらも使いこなせるスキルを身に付けることが望ましいでしょう。

 

(3)ビジネスを深く理解する力

 

プロンプトエンジニアは、技術的な知識だけでなく、ビジネスを深く理解する力が求められます。ビジネスのニーズを深く理解することで、AIがどのような回答を生成することを求められるのか、また、そのためにどのようなプロンプトを与えればいいのかを的確に判断できるようになります。

 

ビジネスを深く理解するためには、対象となる業界や業種に特化したドメイン知識も必要です。そのためには、対象となる業界について調査したり、業界や業種に詳しい人から話を聞いたりする必要があります。

 

(4)アイデアを言語化する力

 

プロンプトエンジニアには、アイデアを言語化する力も求められます。

プロンプトエンジニアは自分が持っているアイデアをAIに正しく解釈させなければなりません。また、AIにアイデアを正しく伝えるためだけでなく、アイデアをチーム内で共有して議論するためにも、アイデアの言語化は不可欠です。

 

4.プロンプトエンジニアは文系の強みを活かせる職業

プロンプトエンジニアは文系の強みを活かせる職業といえます。プロンプトエンジニアは文章を適切に組み立てる必要があるので、文系出身者が持つ語彙力や表現力を活かすことができます。

また、文系出身のプロンプトエンジニアはAIと自分の専門分野を掛け合わせて、強みを発揮できるケースも多いです。

例えば、言語学が専門であれば、AIの言語モデルの構築に貢献できます。言語への理解を深めることで、AIにどのような自然言語処理をさせればいいかを判断できます。

また、経済学が専門であれば、市場の予測モデルや最適化問題を解決できます。経済学のモデルや理論をAIのアルゴリズムに設定することで、市場の動向や消費者の行動を高い精度で予測することが可能です。

このように、文系大学出身者はAIと自分の専門分野を掛け合わせることで、自分の強みを発揮してプロンプトエンジニアとして活躍できる可能性があるでしょう。

5.プロンプトエンジニアに向いているタイプ

以下に該当する人は、プロンプトエンジニアに向いているといえます。

 

(1)新しい知識やスキルを学ぶ意欲がある

 

プロンプトエンジニアは、AI技術の進化に合わせて、常に最新の知識やスキルを習得する必要があります。AI技術は急速に進歩しており、新しいアルゴリズムやフレームワークが次々と登場しているので、プロンプトエンジニアには常に最新の知識やスキルを学び続ける姿勢が求められるのです。

現在、様々な団体や企業が新しいAIを公開しており、プロンプトエンジニアとして活躍するためには、これらの技術の発展に常に追いつく必要があります。また、プロンプトエンジニアリングの技術も日進月歩で進んでいます。どのようなプロンプトで適切な回答が出るかは、日々世界中で研究されています。

例えば、有名な例としてプロンプトの最後に「Let’s think step by step(ステップごとに考えよう)」と追加することで回答の精度が上がります。このようなテクニックを知っておくことで、プロンプトエンジニアとして活躍できます。

 

(2)得意分野や強みを持っている

 

自分の得意分野や強みを持っていると、プロンプトエンジニアとして活躍できる可能性が高くなります。自分の得意分野と生成AIを掛け合わせた仕事ができるからです。

例えば、マーケティング関連の知識や経験を持つ場合、プロンプトエンジニアとして生成AIを活用して優れたマーケティング戦略を提案することができます。これにより、効果的な広告やキャンペーンを展開することができるでしょう。

自分の専門分野でプロンプトエンジニアとして仕事をすることは、他のプロンプトエンジニアとの差別化も図ることにもつながります。

 

(3)コミュニケーション能力が高い

 

適切なプロンプトを作成するためには、クライアントのビジネスの課題やニーズを深く理解し、それを自然言語処理やプログラミングに落とし込む能力が必要です。そのためには、クライアントとのコミュニケーションが必要になります。

また、プロンプトエンジニアは、他のエンジニアやステークホルダーなどと連携して仕事を進めることが多いです。そのため、コミュニケーション能力が高い人はプロンプトエンジニアに向いているといえるでしょう。

まとめ

この記事では、プロンプトエンジニアという職業の概要、文系の強みを活かせる理由、どのようなスキルが必要でどのような人が向いているのかなどについて解説しました。

 

プロンプトエンジニアは、ビジネスの場で生成AIを活用するために不可欠な職業で、今後、さらに需要が高まることが予想されます。ただし、現状、国内ではプロンプトエンジニアを養成する本格的な講座は少ないのが実情です。

プロンプトエンジニアと同様にAI関連で将来性が期待できる職業として注目されているデータサイエンティストなら、経済産業大臣が認定する第四次産業革命スキル習得講座(Reスキル講座)として認定されている育成講座もあります。

 

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