データサイエンティストになるためには? 必要なスキルや学習方法を解説
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データサイエンス
2023.06.29
最初にChatGPTの概要について簡単に説明します。
ChatGPTは、OpenAIが開発した自然言語処理のモデルの一つです。自然言語処理能力を活用して、人間のような自然な文章を生成することができます。また、質問に対して回答するなど自然な対話を行うことも可能です。異なる言語間の翻訳や文章の要約を行うこともできます。
ChatGPTの革新的な能力と潜在的な応用範囲は、幅広い分野で有益であるとして世界中から注目を集めています。
ChatGPT を開発したOpenAIは、2015年12月にTesla(テスラ)のCEOであるイーロン・マスク氏らによって設立された人工知能研究所です。
OpenAIが設立された目的は、人工汎用知能(AGI)の研究と開発を通じて、安全かつ人類に有益な方法でデジタル知能を進化させることです。ChatGPTはその目標に向かって実施した研究の中で誕生しました。
OpenAIの研究は、人間が行うあらゆる知的なタスクを学習できる人工汎用知能(AGI)の創造に焦点を当てています。
ChatGPTの開発には、どのような技術が用いられているのでしょうか。中核となる技術について説明します。
ChatGPTの開発には、Transformerアーキテクチャが用いられています。
Transformerアーキテクチャは自然言語処理(NLP)タスクにおいて高い精度を発揮する深層学習アーキテクチャの一つです。文脈を理解するための注意機構を備えており、文章生成、要約、翻訳などのタスクに使用されています。また、文脈から適切な情報を抽出して応答を生成することにより複雑な対話を行うことも可能です。
ChatGPTのモデルは、巨大なトレーニングデータを使用してトレーニングされます。ChatGPTを開発するために使用されたトレーニングデータは、数十億単語規模のテキストデータから構成されています。トレーニングデータには、ウェブサイト、ニュース記事、書籍、雑誌など、さまざまな種類の文章が含まれています。
トレーニングプロセスでは、トレーニングデータを使用して、文脈を理解するトレーニングを積み、文法や言語のパターンを学習します。
ChatGPTは、一般的な自然言語処理のタスクに利用できるようにファインチューニング(Fine-tuning)されます。ファインチューニングは、特定のタスクに合わせてモデルを微調整して最適化するプロセスです。
ファインチューニングは以下のような流れで行います。
GPT(Generative Pre-trained Transformer)は、OpenAIによって開発された自然言語処理モデルの一種です。GPTがどのように進化してきたのか、その歴史を紹介します。
2018年にOpenAI はGPTの初期モデルであるGPT-1を発表しました。
GPT-1は、前述したTransformerアーキテクチャを用いて、大規模なプレトレーニングデータに基づく学習により文脈を考慮した文章生成などのタスクで高いパフォーマンスを発揮し、その自然な応答能力が注目を集めました。
2019年には、GPT-1の改良版としてGPT-2が発表されました。
GPT-2は、より多くのパラメータとトレーニングデータを用いた学習により、生成文のクオリティと文の流暢さが向上しました。
2020年には、さらなる進化を遂げたGPT-3が登場しました。
GPT-3は、約1750億のパラメータを持つ史上最大規模の自然言語処理モデルです。
膨大な量のトレーニングデータを用いた学習により、驚異的な性能を示し、さまざまなタスクで人間に近い結果を達成しました。特に、質問応答、文章生成、文章翻訳、要約などの分野で高い評価を受けました。
2023年には、さらに進化したGPT-4が発表されました。
GPT-4は、テキストだけでなく、画像や動画も生成できるマルチモーダルなモデルで、非常に汎用性の高い次世代のツールとして注目されています。
GPT-4とGPT-3の違いを以下の表にまとめてみました。
GPT-4 | GPT-3 | |
パラメータ数※1 | 約100兆個 | 約1.75兆個 |
最大トークン数※2 | 32,768(2の15乗) | 2,048 |
主な機能 | 画像入力による文章生成、自然言語生成による文書作成 | 自然言語生成による文書作成 |
※1パラメータ:モデルの学習実行後に獲得される数値(=重み)であり、値が高い程、性能が良いとされる
※2最大トークン数:入力時の文字列(プロンプト)と、回答時の文字列に対する合計数
このようにGPT-4とGPT-3を比較すると、生成型AIの能力に大きな影響を与えるパラメータ数や最大トークン数に大きな差があることがわかります。
現在、さまざまな業界でChatGPTの活用が進んでいます。ChatGPTの活用に取り組む企業の事例を二つ紹介します。
株式会社博報堂テクノロジーズは、2023年5月11日に、Open-AI社のChatGPTを中心とした一連のサービスを導入し、「ChatGPTソリューション開発推進室」を新設しました。同社は、ChatGPTの技術的優位性と未来の可能性に注目し、社内の生産性の向上だけではなく、社外でのソリューション提供に活用することを目指して以下のような積極的な取り組みを行っています。
①プロンプトエンジニアの育成
同社は、プロンプトエンジニアの育成に注力しています。プロンプトエンジニアとは、生成AIツールの普及に伴い注目されている職種で、生成系AIが最大限の能力を発揮できるよう性能を改善する役割を担います。
同社では、キラメックス株式会社が運営する「テックアカデミー」の教育プログラムを活用して、約300名の開発エンジニア・プロデューサーに対してプロンプトエンジニアの教育を開始しています。最終的には、教育プログラムを博報堂DYグループ全体に展開し、1,000名規模のプロンプトエンジニア体制を目指すそうです。
②グループ各社向けの相談窓口設置
同社は、グループ各社の全社員を対象として、ChatGPT利用に関する要望や質問に対する窓口を設けました。要望や質問への対応を通じてChatGPT利用に関するナレッジを蓄積して、グループ各社への展開と教育を推進し、幅広い業務を対象とした生産性向上を目指しているとのことです。
③ChatGPT活用促進に向けたグループ共通基盤の構築
セキュアな利用環境上にグループ内での学習や実験が可能な共通基盤を構築して、グループ各社間のChatGPT活用に関する情報共有や議論の場として利用できるようグループ共通リソースとして社員に提供するそうです。
参考URL:博報堂テクノロジーズ、「ChatGPT ソリューション開発推進室」を発足
東京都港区に本社を構えるノウタス株式会社は、農家の家族経営のために、農家向けの自動化された顧客問い合わせシステムを提供するチャットボットの開発プロジェクトを進めています。同社が開発を進めているチャットボットは、農園や栽培されている生産物に関する質問や、購入方法に関する質問など、農家が受けるさまざまな質問に対して対話形式で回答を提供します。
同社は、農家向けのチャットボットの提供により、農家における人手不足の課題を解決することを目指しており、現在、同社のインターンシップ生がチャットボットの開発を主導しているそうです。
ChatGPTの開発技術は今後どのように発展していくのでしょうか。また、規制を受ける可能性はあるのでしょうか。
ChatGPTは、より大規模で高精度なモデルの開発や、文脈理解能力や応答生成能力の向上を目指して、今後も改善が続けられる予定です。また、さまざまな応用分野で、より実用的な形での活用が検討されています。
現在、自然言語処理技術は急速に進歩しており、新しい手法やアルゴリズムが次々と誕生しています。また、より多様なトレーニングデータや、より大規模なモデルを使用することで、精度が向上する可能性があります。
ただし、完璧な精度を期待することは難しいでしょう。ChatGPTは言語生成における最先端の技術の一つであり、既に非常に高い精度を達成しています。また、自然言語処理技術には、言語の複雑さや曖昧さなど、解決が困難な課題が残されています。そのため、精度向上には限界があると考えられます。
現在、世界の各国でAI技術に対する法的な枠組みや規制の検討や導入が進んでいます。
AI技術の発展に伴い、悪用のリスク、プライバシー、セキュリティ、倫理面など、さまざまな問題が懸念されるからです。EUでは2022年にAI法案が提案され、AIの一部領域での規制が検討されています。
一方、AI技術の進歩は革新的で多くの利益をもたらすため、イノベーションや研究分野での過剰な制約は望ましくないという声も挙がっています。規制に関する議論は進行中ですが、AI技術の適切な利用、公正性、倫理的な側面、個人の権利保護など、さまざまな観点から慎重に検討されるべきテーマだといえるでしょう。
この記事では、ChatGPTの開発技術や、GPTの進化の歴史、将来の可能性などについて解説しました。
ChatGPTの開発技術は日夜研究が進められており、今後もさらなる精度の向上が期待できるでしょう。しかし、人間の対話能力を完全に模倣するにはまだ多くの課題が残されています。ChatGPTの限界を理解した上で、適切に活用することが大切です。
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