データサイエンティストになるためには? 必要なスキルや学習方法を解説
データサイエンティストとは、データを分析してビジネスに役…
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データサイエンス
2023.05.22
データサイエンスは、統計学、データ分析、機械学習などを活用することで、既存の方法では解決できなかった企業や社会のさまざまな課題について、解決法を導き出す手法のことです。
意思決定の局面において、データサイエンスによって導き出された客観的な根拠のあるデータを提示し、決定権者のサポートを行うことがデータサイエンティストの主な役割です。
インターネットやスマホの普及などにより、企業が収集できるデータが増えました。目的に合わせてデータを収集し、分析・解析することで、さまざまな課題を解決に導くための示唆を得ることができるようになりました。
企業がデータサイエンスを行うことで、以下のようなメリットが得られます。
顧客のニーズが多様化した現代では、従来のような経営者の勘や経験に頼った意思決定では判断を誤る可能性が高くなります。データサイエンスを駆使し、データに基づく客観的な意思決定を行うことで、刻々と変化する社会の中にあっても適切な経営判断を行えるようになります。
データサイエンスによってさまざまなデータを分析することで、これまで気づくことができなかった自社の課題を数値として明確に把握できるようになり、無駄な支出や人的コストの削減などが可能になります。
データサイエンスの実施によって、自社の業務プロセスにおける課題や改善点を可視化することができます。適切な人員配置で顧客と従業員の満足度を向上させるといったことも可能になり、実施した施策の効果をさらに検証することで、成果を最大化させることができます。
企業や自治体がどのようにデータサイエンスを活用してメリットを得ているか、具体的な事例を3つ紹介します。
トラスコ中山株式会社は1964年創業の、工具や屋外作業現場用器具などを幅広く扱う卸売会社です。代表取締役社長中山哲也氏の「勘と思い込みは時として致命的な失敗を犯す」との信念から、データドリブン、DXの推進を本格化させています。
同社では、実際の倉庫の内部(作業員・商品・ロボットなどの状況)から取得した情報をもとに、デジタル空間に倉庫を再現し、事前のシミュレーションや分析を行うことで、実際に起きる課題を迅速に解決できるようになりました。
また、需要予測AIを活用することで、商品の在庫、調達の最適化を実現しています。商品の在庫量やラインナップ、在庫配置、管理コスト、調達先などを最適化し、在庫の出荷率向上につなげています。
参照:“究極の問屋”を目指してデータドリブンに舵を切る─トラスコ中山の独創経営 | IT Leaders
神奈川県川崎市では、道路の渋滞解消や交通事故削減を目的にビッグデータを活用しています。
カーナビから取得した走行データを元に分析を実施。急ブレーキが頻繁にかけられている箇所にカーブミラーを設置したり、走行速度が高い区間に区画線や防護柵等を設置したりすることで、安全性の向上を実現しています。
また、渋滞が発生しやすい道路に右折レーンを設置したり、交差点を改良したりすることで、交通渋滞の緩和に成果を出しています。
サッカー日本代表の三笘薫選手が所属することで知られるイングランドプレミアリーグ所属のサッカーチーム「ブライトン & ホーヴ アルビオン」は、データの収集と分析に取り組む専門家の専任チームを擁しており、主に選手の獲得において大きな成果を上げています。
ブライトンでは、世界中のサッカー選手のパフォーマンスや身体的特徴をデータ化して分析し、チームが指向するプレースタイルによく適合し、高いレベルでパフォーマンスを発揮する可能性の高い選手たちと契約することで、予算が多いとはいえない中堅クラブでありながら、近年めざましい勢いで躍進を遂げています。
比較的無名にも関わらずチーム戦術に合致する選手を獲得することで、チーム成績を向上させるだけでなく、選手の価値を高めて売却益を得ることで資金を潤し、安定したクラブ運営を実現しています。
参照:6 football clubs who are making great use of data analytics
データ活用は企業にとって有益ですが、デジタル人材の不足は深刻で、必要だからといって簡単に集められるものではありません。人材を外部から確保するのが難しいとなれば、社内において育てる必要があります。
ここでは、データサイエンティストの育成に取り組む企業の事例を紹介します。
AGC株式会社は1907年の創立、世界最大級のガラスメーカーとして、ガラス等の素材やセラミックス、エレクトロニクス等の技術を組み合わせて電子部材、化学関連素材を製造・販売しています。
AGC株式会社では、デジタル時代における人材育成の取り組みとして、データサイエンティスト育成プログラム「Data Science Plus」を確立。業務知識に加え、業務課題をデータ活用によって解決するデータサイエンスのスキルを有する「二刀流人材」の育成を行っています。
AGC株式会社は素材製造業者であり、開発、製造、業務プロセスに関わるデータが多数存在しますが、そのプロセスが独自に開発された個別のものであるため、育成されるデータサイエンティストには理論の習得に加え、それらのプロセスを熟知する必要がありました。
対象者は入門、基礎、応用と段階的に選抜される研修を行った後、それぞれの部門の課題を持ち込み、実際に起案から実用化までを複数回経験することで、データ活用による課題解決に実際に取り組み、データサイエンスのスキルを磨きながら、各部門が持つ独自のプロセスについて理解を深めました。
参照:独自のデータサイエンティスト育成プログラム「Data Science Plus」を確立 | ニュース | AGC
自社の課題、部門の課題をよく知る社員をデータサイエンティストとして育成することで、即効性の高いデータサイエンスを実現する、人材育成の好例といえます。
教育現場においては、全大学生にデータサイエンスの基礎知識を身に付けさせようという動きがすでに始まっており、日本経済新聞の調査によると、全国の主要大学のうち約7割が初級レベルの授業を必修化する考えがあると答えています。
DXを推進する日本社会としては望ましい状況と言えますが、データサイエンスに関わる業務をすべて若年層に委ねてしまっては、すでに社会人となっている人が時代に取り残されてしまうという危惧も生じます。
株式会社IHIは、カスタマーサクセスの実現に向けて、人工知能を活用したデータ分析による課題解決や新しい価値を創出する「データを価値に変える」取り組みを行っています。
事業部門のAI・データ分析のスキル向上のために社員教育を実施していますが、それが職場や事業の課題解決につなげられていないという声があり、調査の結果、受講者の上司にデータ分析の重要性について理解を深めてもらうことが課題であることが判明しました。
そこでは株式会社IHIでは、幹部層向けにデータ分析と、データ分析プロジェクトの進め方や関連法規に関する知識の教育を行ったほか、受講者との意識のすりあわせを行うためにワークショップを開催。データ分析を実際の業務で有効に活用するための流れとポイントについての実習を行いました。
参照:DXを支えるツール展開と社内データアナリスト育成|2022年度|IHI技報
データ分析についての知識や理解、スキルにおける世代間ギャップが生み出す弊害を理解し、それを解消するための環境や仕組みづくりにも取り組んでいます。
企業においてデータサイエンスが果たせる役割やメリット、実際にデータサイエンスを活用している企業や自治体の事例について紹介してきました。
世界的にデジタル人材が不足するなか、企業の競争力を維持するためには、自社の社員を育成して、担当業務の知識×データサイエンスによって課題解決を実現する必要があります。
データミックスでは、初学者向けの講座だけでなく、データサイエンティストとしての社員育成にも効果的な、より高度で実践的なデータサイエンティスト育成講座をそろえております。受講料の70%が還付される専門教育訓練給付制度の利用も可能です。
自社のデータ活用、社内人材のリカレントに関心をお持ちなら、ぜひご検討ください。
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