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データミックスのプログラムとアメリカの大学院を比較した

新型コロナ感染症の影響により対面授業ができなくなったことから、全ての授業をオンラインに切り替えました。これにより、これまでの対面授業であれば授業前後にしていた雑談ができなくなり、受講生の皆さんとちょっとした会話がしにくくなってしまいました。そこで、始めたのがオンラインのオフィスアワーです。オフィスアワーとは、授業の相談からキャリアの相談まで、答えられる範囲で全ての質問にお答えするセッションです。受講生は好きな講師のセッションを事前に予約していただき、ウェブ会議システムを使って1対1でセッションを行います。

 

4月にオフィスアワーを初めてから20名近くの受講生の方々とお話し、よく出てくる話題がキャリアの相談。そして、もうひとつ頻出の話題は、データミックス卒業後の学習方法です。

 

データミックスでは、卒業生が有志で数学の勉強会や論文を読むゼミを運営しています。例えば、論文を読むゼミであれば、毎月1回集まって、論文の内容を読み合わせるといったことをしていますし、在校生と卒業生が混ざって、データ分析コンペをしていることもあります。

 

このようにやる気に満ちた卒業生が運営しているのは特徴ですが、この記事では運営方法の紹介ではなく、卒業後に学習するとしたら、どのようなテーマを選べば良いかを説明していきたいと思います。少々おこがましいですが、今回はデータミックスのプログラムと、アメリカのデータサイエンス系の大学院プログラムとの比較を通じて、「追加で学習すべきテーマ」を明らかにしていきたいと思います。

そもそもデータミックスのプログラムの成り立ちは?

データミックスのプログラムは、代表の堅田が通っていたアメリカのサンフランシスコにあるUniversity of San Francisco(USF)のM.S. in Analytics (現在はM.S in Data Science)のプログラムを参考にしています。

 

当時のUSFのデータサイエンスのプログラムは、以下のような内容でした(1年間フルタイムで朝から晩まで勉強できる学生向けのプログラムです)。

 

【統計学系・数学系の科目】

線形代数

・データ可視化
・推測統計学
・回帰分析
・時系列分析
・ベイズ統計学とシミュレーション

 

【機械学習系】

・機械学習
・Deep Learning

 

【コンピューターサイエンス系】

・Hadoop, MapReduce
・SQL
・SASプログラミング
・Python
・R
・Big Data Analytics(AWSを使った大規模データ解析)

 

【ビジネス系】

・マーケティング分析
・データを活用したビジネス戦略
・プレゼンテーション
・インタビュースキル(就活に向けた)

 

統計学から機械学習、コンピューターサイエンスまで幅広く学ぶ内容となっており、ボリュームも結構あります。
このプログラムを通じて学習した内容をベースに、社会人・ビジネスパーソンを対象とした学習プログラムとして設計したのが、現在のデータミックスの学習プログラムです。


中でも、基礎として欠かせない統計学や機械学習は数学が苦手でも学べるよう、また、PythonやRといったプログラミング言語を触ったことがない方でも学べるように、カリキュラムを作っています。一方、ビジネスパーソンなので改めてプレゼンテーションや戦略といった話題は、既にある程度の経験や知識があることを想定し、演習の中で学べるような設計にしています。詳細なデータミックスの学習プログラムの詳細はこちらをご覧ください。

それでは、比較対象とするアメリカの大学院のプログラムに話を移しましょう。

アメリカでデータサイエンス系の大学院は300近くある

アメリカの大学院でデータサイエンス系のプログラムは2019年で300程度に上ります。2007年はノースカロライナ州立大学のM.S in Analyticsの1つでした。その後、2010年には、コーネル大学、デポール大学、テネシー大学でプログラムが開講し、2014年以降は、年間で40前後ずつ増加しています。徐々に開講のペースが上がり、新設のペースは落ち着いてきたと言えるでしょう。

 

内訳を見ると、同じデータサイエンス系のプログラムといっても名前は異なります。ポピュラーなプログラム名は以下の4つです。

 

・M.S in Analytics
・M.S in Business Analytics
・M.S in Data Science
・M.S in Business Intelligence

 

プログラムの名称がData Scienceだから数理やコンピュータ・サイエンスに寄っている、Business Analyticsだから内容がビジネス寄りとも言い切れないのですが、傾向を掴むことはできます。そこでプログラムの名称の中に「Analytics」「Business Analytics」「Data Science」「Business Intelligence」のうち、どのワードが含まれているかを数えてみました。

以下のグラフを見てみましょう。

このグラフを見ると、2019年時点で、「Business Analytics」というワードを含むプログラムが最も多く、次いで「Analytics」と「Data Science」がほぼ同程度となっています。推移をみると2016年以降は「Analytics」という名称を含むプログラム数が伸び悩む一方、「Business Analytics」や「Data Science」というワードを含むプログラム数は伸びています。

ちなみに、「Business Analytics」というワードを含むプログラムが増えているのは、従来MBAを提供していたビジネススクールが主導して新たにデータサイエンス系のプログラムを提供しているため「Business」というキーワードが含まれているのだと推察します。

その理由は、MBAのトップ10プログラムの応募者数が減少傾向にあるというデータもあり、これまでのようにMBAプログラムの収益が頭打ちになってきていることに加え、こちらの記事にあるように、あまり有名な大学でなくてもデータ分析やサイバーセキュリティ分野でのコースであれば学生を集めていることに成功しているといったことから、MBAコースに加えて、受講生を集めることができるデータサイエンス系のプログラムを新たに提供しようとしている結果だと推察されます。

データミックスも、ビジネスパーソン向けのデータサイエンススクールですので、この「Business Analytics」というワードを含むプログラムと比較することで、卒業後に何を学ぶべきかが見えてきます。

早速、「Business Analytics」を含むプログラムの詳細を具体例で見てみましょう。

Business Analyticsのプログラム: MITとUCLAの例

100を超えるプログラムで「Business Analytics」という名称を使っているので、どのプログラムを具体例に使うかは悩ましいところですが、「The Top 10 Universities for Masters in Business Analytics Degrees in 2020」の上位2つのプログラムを見てみましょう。

 

MIT Sloan School of Management: Master of Business Analytics 

https://mitsloan.mit.edu/master-of-business-analytics

https://mitsloan.mit.edu/master-of-business-analytics/program-components/mban-curriculum

 

ウェブサイト等で可能な限り調査したところ、

 

・回帰分析、ロジスティック回帰
・機械学習
・Python, R, SQL, Julia
・数理最適化
・最適化手法を使った機械学習アルゴリズム開発
・倫理とプライバシー
・各業界のケーススタディ
・データ分析プロジェクト

 

といった内容のようです。MIT = マサチューセッツ工科大学は日本でも有名だと思いますが、技術系大学の最高峰の大学の1つです。技術系の学校ですので、Business Analyticsと言っても比較的数学的な匂いがします。

また、このプログラムは、Sloan School of Managementとオペレーションズリサーチセンターのジョイントプログラムのようなので、数理最適化に特に力を入れているのは理解できます。さらに目を引くのは、数理分野だけでなく、倫理とプライバシーといったコースが含まれているのも特徴的です。

UCLA Anderson School of Management: Master of Science in Business Analytics

https://www.anderson.ucla.edu/degrees/master-of-science-in-business-analytics/

 

カリフォルニア大学ロサンゼルス校のプログラムを見てみましょう。

・数学と統計学
・Rプログラミング
・SQL
・処方的モデル & データアナリティクス(回帰分析、機械学習など)
・データマネジメント
・数理最適化
・ビジネス基礎
・データマネジメント(NoSQL、Hadoop, Sparkなど)
・Operations Analytics
・Customer Analytics
・Competitive Analytics
・Internet Customer Analytics
・Healthcare Analytics
・Entertainment Analytics
・データ分析プロジェクト

 

UCLAのビジネススクールというと、ロサンゼルスという立地もあり、テック系のスタートアップや、エンターテインメント業界のイメージが強いのですが、Business Analyticsのプログラムでも、それがカリキュラムにも強く反映されているように見えます。特に、Internet Customer Analyticsや、Entertainment Analyticsといった業界に特化したコースが特徴的です。

データミックスとアメリカの大学院の共通項

このようにたった2つのプログラムを見ても、各学校の特色がありますね。とても興味深いです。一方、やはりMITとUCLAいずれのプログラムでも提供している内容というのは、データサイエンスコースとしては基礎的な内容とも言えます。ちなみに、MIT、UCLAでも教えている内容は以下のような内容です。

 

・統計学(回帰分析など)
・機械学習
・Python、R、SQL
・データ分析プロジェクト

 

これらの内容は、データミックスのカリキュラムにも含まれています。

一方、MITとUCLAのプログラムになく、データミックスで教えているのが、Deep Learningと自然言語処理(テキスト分析)です。この2つの技術は、今後AI分野では重要な技術なので、ビジネスパーソンであっても知っておいて欲しいと考えており、データミックスではカリキュラムに含めています。

卒業後に学ぶべきテーマは3つある

そして、MITやUCLAのプログラムにあって、データミックスのプログラムにはないテーマは以下の3つです。

 

1.数理最適化

MITのプログラムにもUCLAのプログラムにも含まれているのが数理最適化です。データミックスの授業でもExcelのソルバーを使って最適化を学びますが、あくまで導入という位置づけで、ぜひ数理最適化を学習してみると良いと思います。

 

2.データマネジメント

データマネジメントというと幅広いですが、データベースや大規模データを扱うためのフレームワーク(Sparkなど)を学習すると実務にも活きてくると思います。書籍もたくさん出版されているので自習すると良いでしょう。また、データミックスでも不定期ではありますが、Sparkの単発講義を行っており、学習の機会があります。

 

3.業界に特化したデータ分析

MITではケーススタディ、UCLAではCustomer Analytics、Healthcare Analyticsといった具合でそれぞれコースになっています。これは、業界ごとに扱うデータの種類が異なるという点を理解しておくことが重要です。例えば、広告分野であれば、ウェブサイト上のユーザー行動データを分析する機会が増えますし、ECサイトであれば大量の顧客の取引データから、売上を上げるための企画を考える必要があります。このように各分野によって扱うデータが異なり、データを扱うにあたって知っておくべき知識も異なります。そのため、業界に特化したデータを扱うトレーニングが重要になってきます。データミックスでも各業界に特化した講座を用意していますので、受講後にさらに特定の業界で活躍したい方や、別の業界で働いているものの他の業界での分析アプローチを深く理解したい方に受講をオススメしています。

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