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データドリブン経営に必要な ビジネストランスレーターとは? 

「ビッグデータの時代」「データによる意思決定」といった言葉が使われるようになってからある程度の時間が経ち、最近では「データの民主化」「データサイエンスの民主化」といった言葉も聞くようになり、ビジネス上の意思決定にデータを使う事は一般的となりつつあります。

反面、データドリブン経営を数年実践してみたものの思っていたほどの効果が見えてこない、データ分析の結果をいまいち活用しきれていない、そんな問題を抱える企業も徐々に出てくるようになってきました。

そこで現在、新たにビジネストランスレーター(もしくはアナリティクストランスレーター)という職業に注目が集まりつつあり、今後はデータサイエンティスト以上に不足するとまでいわれています。

ビジネストランスレーターとは

ビジネストランスレーターとは、データサイエンティストなどの技術者・技術系部署とビジネスチームや経営チームとの間の橋渡し役をする仕事です。

データサイエンティストはデータサイエンスの専門家であってビジネスや経営の専門家ではないため、データ分析の結果をもとに具体的にどのように生かした戦略を立てていくかという部分は、あまり得意とするところではありません。データ分析業務と関係のない部分の経営に関する情報は共有されていない事も多く、そもそも意見をするために十分な情報を持っていないというケースもあります。

一方で経営者を始めとするビジネスサイドの人たちのデータサイエンスに関する知識の有無は人それぞれで、データサイエンスチームが作成したレポートを見て、そのデータが示す意味や示唆するところを広く読み取った上で深い考察まで出来るとは限りません。

そこで、必要となってくるのが、両者の間に入るビジネストランスレーターです。データサイエンスチームからのレポートの内容や分析結果を分かりやすい言葉でビジネスサイドの人たちに説明し、一方でビジネス・経営サイドの視点にも立ち、その結果をどのように生かしていくべきか具体的な意見やアイディアを伝え、課題解決を遂行していきます。

必要なスキル

ビジネストランスレーターになるための資格や学位のようなものは現在まだありませんが、一般的にビジネストランスレーターが持ってると良いとされる知識やスキルには以下のようなものがあります。

データサイエンス…高度な分析自体を行うわけではないので、データサイエンティストと同等の知識やスキルまでは求められることはありませんが、データサイエンティストの行った分析結果を見て、分析に使われた手法がどのようなものであるのか、使われたデータがどのようなものであるのか、といった事は理解する必要があります。

経営…データサイエンティスト以上にビジネス寄り・経営者よりの視点が求められるため、経営に関する知識も十分に持っている必要があります。

BIツール…ビジネストランスレーターにとっての重要な役割は、データ分析にまつわる専門的な話をビジネスサイドに分かりやすく説明する事です。そのため、データを見やすく可視化するBIツールの利用は必須です。

ドメイン・業界知識…ビジネス・経営サイドの視点からデータを見て事業に役立てるためには、社内の業務や業界の動向にも精通している事も大事な要素となってきます。

洞察力…データ分析の結果から少しでも多くの事を読み取り、他のデータや他の情報と合わせて有益な情報を見出すためには、鋭い洞察力も重要です。

現在まだビジネストランスレーターは職業としては一般的ではないため、多くの場合社内で育成するか、データサイエンティストがビジネストランスレーターの役割も兼ねているのが一般的なようです。

ビジネストランスレーター市場の今とこれから

マッキンゼーグローバルインスティテュートによると、米国だけでもビジネストランスレーターの需要は今後200万人から400万人にもなるとの予測で、実際にマッキンゼーでは、2017年に自社内にアカデミーを設立し1年で1000人のアナリティクストランスレーター(ビジネストランスレーター)を育成しています。

また、データサイエンティストの事を「21世紀で最もセクシーな職業」と紹介し、世間からの注目を一気に集めるきっかけを作ったハーバードビジネスレビュー誌でも、You Don’t Have to Be a Data Scientist to Fill This Must-Have Analytics Role 訳:「分析に必要不可欠なこの仕事ではあなたはデータサイエンティストである必要はありません」と題しビジネストランスレーター(記事内ではアナリティクストランスレーター)という仕事が紹介されました。

Linkedinにも Analytics Translatorsというグループがあり、既に1000人近くの人が参加しています。まだまだ数は少ないですが、Indeedのアメリカの求人市場では既にAnalytics Translator というキーワードで検索すると 100件以上の求人 がヒットします。(※Business Translatorという言葉で検索すると、一般的な翻訳者に関するものもヒットしてしまうことと、英語ではAnalytics Translatorという呼称の方が一般的なため、Analytics Translatorのみの検索結果を参考にしています)

今後さらに需要が増えてくれば、データサイエンスを勉強する人や既にデータサイエンティストとして働く人のネクストステップとして、ビジネストランスレーターは新たなキャリアの選択肢の1つになってくるのではないでしょうか。

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